高精度な曝露評価技術に関する研究 −数値人体モデルの開発−

数値人体モデルの開発

日本人成人男女の数値人体モデル

数値人体モデルの3次元表示
数値人体モデルの3次元表示

組織数:男女共に51種類
体型:日本人の平均体型に合致

数値人体モデルとは、人体(組織・臓器)の形状を微小な要素の集合体として表現したもので、各微小ブロックに筋肉、脂肪といった組織・臓器名を示す番号を付与したものです。その組織・臓器に対応する電気定数を与えることで電波が人体に吸収される様子をシミュレーションすることができます。

NICTでは、北里大学・慶応義塾大学・東京都立大学との共同研究により、わが国で初めて、日本人平均体形を有する成人男女の全身数値モデル「モデル名TARO(男性)とHANAKO(女性)」を開発しています。これらのモデルは日本人成人男女の平均身長と平均体重に合致したボランティアのMRIデータに基づき、2mmの空間分解能、51の組織・臓器を有しています。数値人体モデルの開発後に、医学監修作業や解剖学的データの解析を行ない、本人体モデルデータベースが、以前に開発されてきた人体モデルデータベースに比べて空間分解能や同定組織・臓器数に優れていることや、身体各部位の寸法や臓器重量も日本人の平均値に近い値を有していることを明らかにしてきました。なお、女性モデル(HANAKO)は世界初のミリメートルの空間分解能を有する全身数値人体モデルです。

このモデルは電波と人体との相互影響を調べる目的だけではなく、弾性係数や放射線吸収係数等をモデル内で設定することにより、たとえば車が衝突した場合の搭乗者の被害解析や、がん患者のための放射線治療計画作成等の様々な分野に応用が可能です。

現在、これらのモデルは無償(非営利目的)および有償(営利目的)で公開しています。

本モデルと他の全身モデルの比較 Comparison with other models
Organization Sex Height (cm) Weight (kg) Num. of Tissues Voxel Size (mm)
NICT (TARO) M 173.2 65 51 2×2×2
NICT (HANAKO) F 160.8 53 51 2×2×2
HPA (NORMAN) M 176.0 73 37 2×2×2
HPA (NAOMI) F 163.0 60 41 2×2×2
Utah Univ. M 176.4 71 29 2×2×3
Victoria Univ. M 177.0 76 34 3.6×3.6×3.6
Brooks AFB M 187.1 105 43 1×1×1
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