医学・生物実験に関する報道発表
総務省生体電磁環境研究推進委員会では、平成9年度より10年間にわたり、動物実験、疫学調査等による生体の安全性評価に関する研究を推進してきましたが、平成19年4月にその報告書がとりまとめられました。以下に一部を抜粋します。
電波の安全性に関する見解
- 電波の人体への影響については、わが国をはじめ、世界各国で50年以上に及ぶ研究成果が蓄積されてきており、これらの膨大な科学的知見に基づいて、電波の健康影響の閾値に十分な安全率を見込んだ電波防護指針が策定されている。
- 近年、携帯電話の急激な普及を背景として、電波による健康影響に関して国民の関心が高まっているが、わが国をはじめ国際的な専門機関では、電波防護指針値を下回る強さの電波によって健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないとの認識で一致している。
- 一方、電波防護指針値以下の低レベルの電波が人体に影響を与える可能性があるとの報告が一部にはあるが、これらの研究は必ずしも実験条件等が適切ではないといった問題が指摘されており、このような研究成果は、本来、再現性の確認等を経てから安全性評価のデータとして取り扱われるべきものである。しかしながら、正確な情報提供が必ずしも十分でないことが、国民の漠然とした不安を招く要因となっている。
- 本委員会は、世界保健機関(WHO)における国際電磁界プロジェクトと協調しながら、医学・生物学の専門家と高精度な曝露評価を行なう工学の専門家による密接な連携の下で、公正かつ中立的に研究を行なっている。本委員会におけるこれまでの10年間の研究の成果では、いずれも携帯電話基地局および携帯電話からの電波が人体に影響を及ぼさないことを示している他、過去に影響があると報告された結果について生物・医学/工学的な手法を改善した実験においては、いずれも影響がないという結果を得ている。
- したがって、本委員会は、現時点では電波防護指針値を超えない強さの電波により、非熱効果を含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないと考える。
生体電磁環境研究推進委員会が実施した研究成果についての報道発表
- 電波の安全性に関する生体電磁環境研究推進委員会の研究結果(平成19年2月21日発表)
- 携帯電話の電波による脳内でのメラトニン(睡眠を促すホルモン)の合成への影響は認められないことを確認(平成17年12月14日)
- 携帯電話の電波が脳微小循環動態に及ぼす影響は認められないことを確認(平成15年12月12日発表)
- 長期にわたる携帯電話の使用が脳腫瘍の発生に及ぼす影響は認められないことを確認(平成15年10月10日発表)
- 携帯電話の電波による課題学習能力への影響は生じないことを確認(平成14年11月12日発表)
- 「生体電磁環境研究推進委員会」の中間報告(平成13年1月30日発表)
- 熱作用を及ぼさない電波の強さでは脳(血液−脳関門)に障害を与えず(平成11年9月2日発表)
- 携帯電話の短期ばく露では脳(血液−脳関門)に障害を与えず(平成10年9月29日発表)
- 「生体電磁環境研究推進委員会」の開催(平成9年10月9日発表)