APD(振幅確率分布)を利用した電磁妨害波測定法の検討

これまでの研究により、妨害波のAPD測定値と被干渉デジタル無線通信システム(PHS、PDC、WCDMA)の通信品質劣化との間の関係が明らかになりました。デジタル無線通信・放送サービスを電磁妨害波による干渉から守り、安定した電波の利用を図るため、研究結果をCISPR(国際無線障害特別委員会)へ報告(規格提案)し、電磁放射妨害波測定法の国際規格化に貢献しています。2005年、2006年には電磁妨害波測定用APD測定機器の仕様とその測定法がそれぞれ国際規格になりました。

妨害波のAPDと被干渉通信システムの通信品質劣化の関係

妨害波のAPD測定結果から、その妨害波が干渉を与えるデジタル無線通信システムの通信品質劣化を予測した結果を示します。下の左図は実験系の簡略図、右側はBER測定値(マーカー付きの線)とAPD測定値から予測した推定BER値を示しています。この推定は最悪条件のもとで行なわれているので、BER測定値よりもBER推測値の方が全体的に大きな値となります。

情報無線通信端末内で発生する雑音の内部干渉問題

携帯電話やPDAなどの無線情報通信端末では、機器内で生じた電磁妨害波が自らの通信機能において通信品質の劣化を引き起こす可能性があります。しかし、一般に機器内で生じる不要電磁放射の強度は非常に弱く、その測定は困難です。そこで、妨害波包絡線の時間確率情報を持つAPD測定の利用が検討されています。

上の左図は携帯電話内のディスプレイ制御基板上を2次元スキャンし、各ポイントでAPDを測定している様子です。各ポイント毎に得られるAPD測定結果から確率が10-2、10-3、10-4となる電界強度をカラーマッピングしたが右の図です。上は静止画表示時、下は動画表示時の測定結果です(太陽誘電株式会社提供)。静止画表示時と動画表示時で、電磁放射の性質が異なることが明らかです。

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