我々の身の回りには、さまざまな電磁波が存在しており、これらによって作られる環境を電磁環境と言い、その性質(周波数スペクトル等)は場所や時間によって複雑に変動しています。この電磁環境の中で我々は様々な機器・システムを利用していますが、それらが電磁波を介して相互に悪影響を及ぼさず正常に利用できること(能力)をEMC(電磁(的)両立性)と言います。
通信・放送など意図して電波(3THz以下の電磁波)を出し、これをサービスに利用する際には電波法のルールに従う必要があります。例えば、定められた周波数と異なったり、規定されたレベルを越える電波を出すと不法・違法電波として取締りの対象となることがあります。また、携帯電話等からの電波が生体等に悪影響を与えないことを適切に評価する必要があります。
一方、電波を出すことを意図していない電子・電気機器からも電波(妨害波、無線ノイズ)が出ており、周囲の通信システムの品質劣化や機器の誤動作の原因となったり、その機器自身の正常動作に悪影響を及ぼすこともあります。
これら電波=電磁波の相互作用の問題を解決するためには、まずノイズを出す(エミッション:Emission)側の正体を知り、エミッションを低くすることが必要です。さらにノイズの影響を受ける側の耐ノイズ性(イミュニティ:Immunity)を知り、イミュニティを高くすることも大切です。
当研究室では、これらの研究を通じて測定・評価法の国際標準化や調和の取れた電波利用のための指針作成に貢献しています。一方、規制等に基づき、EMC関連の試験は国内外の企業・試験機関等で広く行われています。
Copyright © National Institute of Information and Communications Technology. All Rights Reserved.